最初は、いわゆる「茶色のお弁当」。
子どもたちの好きなものを詰めると、どうしてもそうなる。
唐揚げ、ウィンナー、焼きそば……。
でもある日、「おとうさん、たまご焼き!」と言われて、黄色が加わった。
さらに、「おとうさん、ほうれん草入れて」と言われ、緑も加わるようになった。
茶色弁当には、もうひとつ理由があった。
料理ができなかったのだ。
ほとんどが冷凍食品。自然と茶色の割合が多くなる。
でも、少しずつ料理を覚えていくうちに、
茶色だけじゃなく、黄色や緑が映えるお弁当になっていった。
多いときには3つのお弁当を毎朝作っていた。
「大変ですね」とよく言われたけど、作らなければ1日が始まらない。
そして、料理ができるようになると、料理が楽しくなってくる。
そんな日々も、孝太の高校卒業を前に、ひと区切りがついた。
お弁当作りが終了した。
「何か寂しくないですか?」と聞かれた。
たしかに、ルーティーンがなくなると、生活のリズムが狂ったような感じがした。
でも、孝太が大学に行くと、「おとうさん、おにぎり作って。2つね」と言って
きた。それからは、おにぎり作りが新たに始まった。


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